色彩心理・購買行動・イノベーター理論から読み解く「売れるデザイン」と「売れなくなるデザイン」の違い

カルビーポテトチップスのパッケージがモノクロになる!というニュースを耳にした人も多いと思います。
本日、Color Presentsでの色彩×心理学の勉強会でも話題になりました。
普段、色をそれほど気にしていない人にも「ニュースとして届く」ということは、人間がそれだけ色の影響を受けているということです。

改めて考えてみましょう。
スーパーやコンビニで商品を選ぶとき、人は何を基準に購入を決めているのでしょうか。

価格でしょうか。
ブランドでしょうか。
味でしょうか。

もちろんそれらも重要ですが、実際には「視覚情報」が購買行動に大きな影響を与えています。

人間は情報の80%以上を視覚から得ていると言われています。
つまり、パッケージデザインは単なる見た目ではなく、「商品を認識し、選び、安心して購入するための情報」でもあるのです。

もし、カルビーポテトチップスのパッケージが突然すべて白黒になったらどうなるのか。

最初は話題になるかもしれません。
SNSでも拡散され、「おしゃれ」「斬新」「限定感がある」と購入者が増える可能性もあります。

しかし、その後も売上は維持できるのでしょうか。

今回は、色彩心理学、購買行動、イノベーター理論を活用しながら、モノクロパッケージが売上に与える影響と、企業が取るべき戦略について解説します。

なぜ色は売上に影響するのか?

色は「情報」である

多くの人は、色を「デザイン」や「装飾」だと思っています。

しかし実際には、色には「機能」があります。

例えばカルビーポテトチップスで考えてみましょう。

  • うすしお=青
  • コンソメ=オレンジ
  • のりしお=緑

長年見慣れているため、人は色だけで味を瞬時に判断しています。

つまり、色は「味の記号」なのです。

人は売り場で、一つひとつ文字を読んでいません。
色で認識し、無意識で選択しています。

そこに突然、すべて白黒のパッケージが並んだらどうなるでしょうか。

一見すると、

「どれがどの味かわからない」

という状態になります。

モノクロ化で起こる購買ストレス

「迷う」は購買離脱につながる

消費者は、日常の買い物にできるだけエネルギーを使いたくありません。

特にコンビニやスーパーでは、

  • 早く選びたい
  • いつものものを買いたい
  • 間違えたくない

という心理があります。

しかし、モノクロパッケージになると、今まで色で判断していた情報が消えます。

すると、

  • 商品を探す
  • 文字を読む
  • 確認する

という工程が増えるのです。

これは「認知負荷」が高い状態です。

人は面倒だと感じると、購買をやめます。

つまり、

「どれかわからない」

「探すのが面倒」

「別の商品でいいや」

となる可能性が高まるのです。

色は「美味しさ」にも影響する

味覚は視覚に支配される

色は、商品選択だけでなく、味覚にも影響します。

例えば、

  • 赤は食欲を刺激する
  • 黄色は楽しさや軽快感
  • 緑は安心感や自然感

など、色には心理的作用があります。

ポテトチップスのパッケージカラーも、無意識に「味の期待値」を作っています。

つまり、人は袋を見ながら味を感じているのです。

モノクロになることで、

  • 美味しそうに見えない
  • 食欲が湧きにくい
  • ワクワク感が減る

という影響も考えられます。

さらに重要なのは、「食べた記憶」です。

人は味だけでなく、視覚情報込みで記憶しています。

そのため、モノクロパッケージで食べた体験が、

「なんとなく物足りない」

という印象として残ると、次回購入意欲に影響する可能性があります。

それでも最初は売れる可能性がある理由

「珍しい」は強力な武器になる

では、モノクロパッケージは失敗なのかというと、そうとは限りません。

むしろ、最初は売上が伸びる可能性があります。

理由は、「物珍しさ」です。

人は変化に反応します。

特にSNS時代では、

  • 見慣れない
  • 意外性がある
  • 写真を撮りたくなる

ものは拡散されやすくなります。

つまり、モノクロ化は「話題化戦略」としては非常に強いのです。

イノベーター理論で見るモノクロ戦略

最初に動くのは「新しいもの好き」

ここで重要になるのが、イノベーター理論です。

イノベーター理論では、市場には以下の層が存在するとされています。

  • イノベーター
  • アーリーアダプター
  • アーリーマジョリティ
  • レイトマジョリティ
  • ラガード

モノクロパッケージに最初に反応するのは、

  • 新しいものが好き
  • トレンドに敏感
  • SNS発信をする

イノベーター層、アーリーアダプター層です。

この層は、「機能性」よりも「新しさ」や「世界観」に価値を感じます。

つまり、

「普通じゃない」

こと自体が魅力になるのです。
だから、普段は購入していない人が購入することもあります。

インフルエンサー活用が成功の鍵

「かっこいい」を作れるか

モノクロパッケージを成功させるには、単なる白黒ではなく、

「これはおしゃれ」
「今っぽい」
「持ちたい」

という価値を作る必要があります。

そこで重要なのが、インフルエンサーです。

例えば、

  • ファッション系インフルエンサー
  • ライフスタイル系YouTuber
  • Z世代向けTikTokクリエイター

などが取り上げることで、

「モノクロ=かっこいい」

というイメージ形成ができます。

すると、従来のポテトチップスとは別の価値が生まれます。

売れる場所と売れにくい場所は分かれる

都市部では「ステータス化」する可能性

モノクロデザインは、すべての地域で同じように受け入れられるわけではありません。

特に、

  • 首都圏
  • 感度の高いエリア
  • デザイン性を重視する層

では受け入れられやすい傾向があります。

実際、シンプルでグレーを基調にした商品は、都市部のオフィスワーカーやZ世代に人気があります。

セブンイレブンのグレーのパッケージの「サイクルミー」のような健康志向ブランドも、

  • シンプル
  • 洗練
  • 無駄がない

という世界観が支持されています。

一方で地方では、

  • 高そうに見える
  • おしゃれすぎて自分には馴染まない
  • 特別なもの

という課題も起こりやすいのです。

つまり、同じデザインでも、ターゲットと売り場によって結果が変わるということです。

今までの購買層を狙うと失敗する

ターゲット変更が必要

ここで重要なのは、

「今までの顧客に同じ売り方をしない」

ということです。

従来のポテトチップスは、

  • わかりやすい
  • 親しみやすい
  • 迷わない

ことが強みでした。

しかし、モノクロ化は真逆です。

つまり、今までと同じ価値提供では成立しません。

だからこそ、

  • デザイン感度が高い人
  • トレンド好き
  • 世界観消費をする人

へターゲット変更を視野にいれることも必要でしょう。

これは危機ではなく、新規顧客開拓のチャンスでもあります。

もし成功すれば、原料供給が戻った後も、新たな市場を獲得できる可能性があります。

小売店・コンビニで必要な対策

POPと陳列で「色の代わり」を作る

では、既存顧客向けにはどう対策すればよいのでしょうか。

ポイントは、

「パッケージ以外で情報を補う」

ことです。

例えば、

  • 今までのカラー写真付きPOP
  • 味別の棚分け
  • 大きな味表示
  • 色別の棚帯

などを活用することで、消費者は迷いにくくなります。

特に重要なのは、「いつもの商品だ」と安心できることです。

モノクロ化で失われた視覚情報を、商品だけに頼らず、売り場自体で補う必要があります。

全部を白黒にする必要はない

ワンポイントカラーは有効

もし今後、モノクロパッケージの導入を検討している企業は、完全白黒ではなく、

「色を部分的に残す」

ことをおすすめします。

例えば、

  • ロゴだけ色を残す
  • 味別カラーだけ残す
  • ワンポイントカラーを入れる

これだけでも認識性は大きく変わります。

人は少しの色でも情報を受け取れます。

つまり、

「世界観」と「わかりやすさ」

の両立が重要なのです。

色彩戦略は売上戦略である

デザイン変更は「見た目」だけではない

企業がパッケージ変更を考える際、

「おしゃれかどうか」

だけで判断してしまうことがあります。

しかし実際には、

  • 購買心理
  • 認知負荷
  • 味覚印象
  • ターゲット戦略
  • 売り場導線

すべてに影響します。

色彩は単なるデザインではありません。

「売れる仕組み」そのものです。

だからこそ、企業には、

  • 誰に売るのか
  • どこで売るのか
  • 何を感じさせるのか

まで含めた色彩戦略が必要なのです。

上記でお伝えしたように、必ずしも売れる色が決まっている訳ではなく、どこで誰に売るのか?を考えることが色彩戦略のポイントです。

色彩監修・商品ブランディングのご相談について

商品の色は、単なる装飾ではなく「売上」と「ブランド価値」を左右します。

  • パッケージ変更で売上が落ちた
  • 商品の魅力が伝わらない
  • ターゲットに響く色がわからない
  • コーポレートカラーをリニューアルしたい
  • ブランドイメージを整理したい

そのようなお悩みに対し、色彩心理・購買行動・ターゲット分析をもとに、色彩監修やブランディングサポートを行っております。

企業研修・商品開発・販促物監修なども対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

色彩心理を活用し、相手の心をつかむアドバンスカラーセラピーを活用した研修も実施しております。
癒しだけを目的としたものではなく、
前進のために心を整え、思考と行動を結び直す手法です。

研修の詳細やご相談は、お気軽にお問い合わせください。
監修、研修実績は→こちらからご覧いただけます。
出張対応も可能です。全国出張を行なっております。
詳細はお気軽にお問い合わせください。

【コラム執筆】荒岡真由美(プロフィール
Color Presents/アドバンスカラーセラピー本部代表
アドバンスカラーセラピー開発者
研修講師歴26年
大学時代から色彩について学び、印刷・化粧品・ブライダル業界を経て独立。2009年、誰でも扱える名刺サイズの色彩心理ツール「アドバンスカラーセラピー」(アドバンスカラーは商標登録取得済)を開発。資格取得した門下生は3800名超。企業・団体研修を通じ、色彩心理を活用したコミュニケーション力向上や人材育成を支援。商工会でのエキスパート講師やイベント登壇、カラープロデュースなど活動は多岐にわたり、組織や人の可能性を引き出す取り組みを続けている。

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Color Presents(アドバンスカラーセラピー 本部)は埼玉県SDGsパートナーに登録されています。