部下が考えないのはなぜ?考える力を育てる方法|上司が実践したい6つのポイント
「なぜ考えないの?」と部下にイライラしていませんか?
質問しない、目的を考えない部下には、考える経験そのものが不足していることがあります。考えない理由を責めるのではなく、考えるクセを身につけてもらうための具体的な関わり方を紹介します。
「なぜ考えないの?」で終わらせていませんか?
「これくらいは自分で考えてほしい」
「言われたことだけではなく、目的まで考えてほしい」
「分からないなら、質問してくれればいいのに……」
部下を育成する立場になると、こんな場面に出会うことがあります。
仕事を頼んでも、言われたことだけをする。
少し状況が変わると、どうしていいのか分からなくなる。
分からないことがあっても質問してこない。
「この仕事は何のためにやっているの?」と聞いても、答えられない。
そして上司が何度も説明しているうちに、
「もういい。自分でやったほうが早い」
となってしまう。
しかし、ここで「この部下は考えない人だ」と結論づけてしまうのは、少し早いかもしれません。
もしかすると、その人には「考えた経験」が足りないだけかもしれないからです。
考えることが苦手なのではなく、何を考えればいいのか分からない。
質問しないのではなく、何を質問したらいいのか分からない。
目的を考えないのではなく、目的を考えるという習慣そのものがない。
そう考えてみると、上司の関わり方も変わってきます。
「なぜ考えないのか?」で終わらせるのではなく、
「どうしたら、この人が自分で考えられるようになるのか?」
に視点を変えてみましょう。

考えない部下は「やる気がない」と決めつけていませんか?
「考えて」と言われた側からすると、実はこの言葉はかなり曖昧です。
何について考えるのか。
どこまで考えるのか。
正解を出す必要があるのか。
自分の意見を言っていいのか。
考えた結果、間違っていたら怒られないのか。
ここが分からなければ、考えようとしても動けません。
特に、これまで「言われた通りに正確にやる」ことを評価されてきた人ほど、突然、
「もっと自分で考えて」
と言われると戸惑います。
これは仕事への意欲がないとは限りません。
むしろ、
「間違えないようにしたい」
「余計なことをして怒られたくない」
「上司の考えと違ったらどうしよう」
という気持ちから、自分の考えを出さなくなっている場合もあります。
だからこそ、最初から高度な判断を求めるのではなく、小さく考える経験を積ませることが大切です。
「自分で考えろ!」ではなく、考える入口をつくる
昭和世代の指導は「自分で考えろ!」でした。
今はそれは通用しません。
部下に考えてほしいとき、
「どう思う?」
「あなたはどうしたい?」
と聞くだけでは、答えられないことがあります。
そこでおすすめしたいのが、いきなり大きな答えを出させようとせず、質問を細かくすることです。
例えば、
「この仕事で一番大切なことは何だと思う?」
「誰のためにやっている仕事だと思う?」
「このまま進めたら、何が起こりそう?」
「今、一番分からないところはどこ?」
「選択肢を3つ考えるとしたら?」
このように、考える方向を示してあげます。
ここで大切なのは、答えを教えるのではなく、考える道筋を示すことです。
上司が、
「答えは○○だよ」
と毎回教えてしまえば、部下は「分からなかったら聞けばいい」という習慣になってしまいます。
一方で、
「まず、あなたはどう考えた?」
と聞いてもらえると、自分の頭で考える機会が生まれます。
質問してこないのは、質問する習慣がないから?
「分からないなら、なぜ質問しないの?」
上司からすると当然の疑問です。
しかし、「質問する」という行動にも技術があります。
例えば新人や経験の浅い部下に、
「何か質問ある?」
と聞いても、
「ありません」
で終わることがあります。
そこで、
「分からないことはない?」
ではなく、
「今の説明で、分かったところと分からないところを一つずつ教えて」
と聞いてみます。
さらに、
「もし一人でやるとしたら、どこで迷いそう?」
など、質問を考えるための質問をしてみましょう。
質問力も、経験によって育っていきます。
つまり、
質問しない部下に「もっと質問して」と言うだけでは、質問する力は育ちにくい
のです。
質問の作り方そのものを教える必要があります。

目的を考えない部下には「目的」を問いかける
仕事の指示を出すとき、上司は目的を分かっていることが多いものです。
そのため、
「これをコピーしておいて」
「資料をまとめておいて」
「○○さんに連絡しておいて」
と、作業だけを伝えてしまうことがあります。
もちろん、急いでいるときはそれでも構いません。
しかし、部下に「考える力」をつけてもらいたいなら、時々、
「この仕事は何のためだと思う?」
と問いかけてみましょう。
例えば、
「この資料を作る目的は何だと思う?」
「この資料を誰が見て、その後どうしてほしい?」
「この作業をしなかったら、何が困る?」
という問いです。
目的が見えると、仕事の見方が変わります。
「言われたから資料を作る」
から、
「相手が判断しやすくするために資料を作る」
へ変わるからです。
この違いは大きなものです。
目的を理解すれば、途中で予定外のことが起きても、自分で判断しやすくなります。
「それ意味あるんですか?」「タイパ(タイムパフォーマンス)悪くないですか?」と言われなくなる
部下から「それやる意味あるんですか?」「タイパ(タイムパフォーマンス)悪くないですか?」と言われたことはありませんか?
最近の若い人の間では「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉がよく使われます。
実際に、タイパ(タイムパフォーマンス)につながれば良いですが、目的を理解していないからこそ、行動や作業を省こうとすることもあります。
「何のためにやるのか?」本質を本人が考えるくせがつけば、その発言はなくなってくるでしょう。
後輩が入ってきた時にも根拠を持って説明できるようになり、社内の業務がしっかり引き継がれていきます。
考えるクセをつける6つのポイント
ここからは、日常の仕事の中で実践しやすい方法を7つ紹介します。
1.「どう思う?」を習慣にする
部下から報告を受けたら、すぐに指示を出すのではなく、
「それについて、あなたはどう思う?」
と一度返してみます。
最初は、
「分かりません」
と言われるかもしれません。
そこで、
「分からないなりに、今の時点でどう思う?」
と聞いてみましょう。
100点の答えを求めないことがポイントです。
2.正解ではなく「考えた過程」を評価する
考える力を育てるためには、正解だけを評価しないことが重要です。
「結果は違ったけれど、そこまで考えたのはよかった。」
「その考え方もあるよね。やってみよう」
「前回より理由を説明できるようになったね。」
と、考えるプロセスを認めます。
考えたことが評価される環境ができると、自分の考えを言いやすくなります。
3.すぐに答えを教えない
部下から、
「どうしたらいいですか?」
と聞かれたとき、すぐ答えていませんか?
もちろん、緊急時には即答が必要です。
しかし、そうでない場合は、
「あなたはどうしたらいいと思う?」
と返してみましょう。
さらに、
「その理由は?」
と聞けば、自分の考えを整理することができます。
ただし、何でも質問で返せばいいわけではありません。
部下が困り切っている場合は、選択肢を示すなど、適切にサポートしましょう。
4.「考える時間」を待つ
上司が質問した直後、部下が黙る。
この沈黙が苦手な人は少なくありません。
つい、
「例えば○○ってことだよ」
と助け舟を出してしまいます。
しかし、考えている途中の沈黙かもしれません。
すぐに答えを与えず、少し待ってみる。
この「待つ時間」が、部下にとっては考える時間になります。
5.小さな判断を任せる
いきなり大きな仕事を丸ごと任せる必要はありません。
例えば、
「AとBなら、どちらがいいと思う?」
「この2案のメリット・デメリットを整理してみて」
「あなたなら、どちらを選ぶ?」
という小さな判断から始めます。
自分で決める経験を重ねることで、判断への抵抗感が少なくなります。
6.「考える」を仕事の振り返りに組み込む
仕事が終わったら、
「うまくいった?」
だけではなく、
「何がうまくいった?」
「次に変えるならどこ?」
「予想と違ったことは?」
「次回はどうする?」
と振り返ります。
これを習慣にすると、経験がそのまま学びになります。
考える力は、一度の研修だけで完成するものではありません。
日々の仕事の中で、考える→話す→振り返る、を繰り返すことが大切です。
アドバンスカラーセラピーの活用は思考力・判断力・決断力・行動力UPにつながる
ここで、アドバンスカラーセラピーを活用した方法をご紹介します。
アドバンスカラーセラピーは、単に「この色を選んだから、あなたは○○な人」と決めつけるためのものではありません。
大切なのは、色をきっかけにして、自分の内側にある考えや気持ちを言葉にしていくことです。

例えば、部下に色を1色選んでもらい、裏面の色彩心理の言葉から選んだ理由をもとに
「今の仕事について何を思い浮かべますか?」
「そのことについてどのように取り組んでいますか?」etc.
と問いかけます。
ここでは、色の意味を上司が説明する必要はありません。
むしろ、
「あなたは、この(色彩心理の)言葉から何を感じますか?」
という本人の言葉を大切にします。
「考えて」と言われると何も浮かばなかった人でも、色という具体的なきっかけがあることで、自分の経験や考えを話しやすくなります。
色は、こころ(気持ち)を投影するので、自分と向き合いやすくなるからです。
そして、その言葉に対して、
「それはなぜ?」
「もう少し詳しく聞かせて」
「仕事ではどんな場面に当てはまりそう?」
「どんな行動をしたらいい?」etc.
と質問していく。
すると、
色を選ぶ → 感じたことを話す → 具体的に考える → 仕事につなげる
という、プロセスを実施できます。
これは、上司が答えを与えるのではなく、本人が自分の言葉を探していく時間です。
アドバンスカラーセラピーカードを活用することで、本人が自ら話し行動にもつながっていくので、上司のストレス軽減はもちろん、成果にもつながっていきます。
「考えない人」を変えるのではなく「考える経験」を増やす
部下育成で忘れてはいけないのは、上司と部下では経験値が違うということです。
上司にとっては簡単な判断でも、部下にとっては初めてかもしれません。
上司には当たり前に見える「目的」も、部下には見えていないかもしれません。
だから、
「こんなことも分からないの?」
と考えるのではなく、
「この人には、どんな経験が足りないのだろう?」
と考えてみる。
この視点の変化が、育成の第一歩になります。
考える力は、本人の性格だけで決まるものではありません。
質問される。
考える。
話す。
失敗する。
振り返る。
また考える。
この繰り返しによって、少しずつ身についていきます。
繰り返していくことにより「自分は◯◯と思うのですが、どうでしょうか?」というやりとりが生まれるようになります。
「考えないなら、もういい」となる前に
部下が何度言っても考えない。
質問もしない。
目的も考えない。
そんな状態が続くと、上司が疲れてしまうのは当然です。
「もういい。私がやります」
と言いたくなることもあるでしょう。
ただ、その瞬間に終わらせてしまうと、部下は「自分で考えなくても誰かがやってくれる」という経験を積んでしまう可能性があります。
もちろん、すべてを待つ必要はありません。
期限や品質が求められる仕事では、上司が判断することも必要です。
そのうえで、
「今回は私が判断する。でも、次回はあなたにも考えてほしい」
「次に同じことが起きたら、どう判断するか一緒に整理しておこう」
と、次の機会につなげます。
育成とは、一度でできるようにすることではありません。
「次は自分で考えてみよう」と思える経験を、一つずつ増やすことなのです。
部下が考えるようになるために、上司自身も問いを変える
部下に考えてほしいと思ったら、まず上司自身が自分に問いかけてみましょう。
「私は、部下が考える前に答えを教えていないだろうか?」
「失敗させないことを優先していないだろうか?」
「部下の沈黙を待てているだろうか?」
「質問しやすい雰囲気をつくれているだろうか?」
「考えた結果ではなく、正解だけを評価していないだろうか?」
そしてもう一つ、
「私は部下に、何を考えてほしいのだろう?」
と考えてみてください。
「自分で判断できるようになってほしい」のか。
「仕事の目的を理解してほしい」のか。
「質問できるようになってほしい」のか。
「周囲を見て行動できるようになってほしい」のか。
求める力が明確になれば、かける言葉も変わります。
「もっと考えて」ではなく、
「この仕事の目的を一度自分の言葉で説明してみて」
「次に同じことが起きたらどうする?」
という具体的な問いに変えられるからです。
FAQ|考えない部下への対応でよくある質問
Q1.何を聞いても「分かりません」と言う部下にはどうすればいい?
最初から自由回答を求めるのではなく、選択肢を提示してみましょう。
「AとBならどちらに近いと思う?」
「一番困っているのは、①方法、②判断、③情報のどれ?」
など、考える範囲を狭くします。
答えられたら、
「なぜそう思った?」
と一段階深めていきます。
Q2.質問してこない部下には「質問して」と言い続けるべき?
「質問して」と言うだけでは、質問する力が身につかない場合があります。
「今の説明で分かったことは?」
「まだ曖昧なところは?」
「実際にやるとしたら、どこで迷いそう?」
と聞き、質問を作るための材料を渡してあげましょう。
Q3.目的を考えない部下には、毎回目的を説明したほうがいいですか?
毎回上司が説明するのではなく、まず本人に考えてもらうことがおすすめです。
「この仕事は何のためだと思う?」
「誰にとって必要な仕事?」
「この仕事がなかったら何が困る?」
など、目的に目を向ける問いを習慣化してみましょう。
Q4.考えさせると仕事が遅くなりませんか?
最初は時間がかかることがありますが、長い目で見ると、いつまでも上司が判断し続ける状態にも時間がかかります。
短期的な効率だけではなく、中長期的に「自分で判断できる人」を育てる視点を持つことが重要です。
「子どもじゃないんだから・・・」と言いたくなることもあるかもしれません。
しかしながら、上司は、「育てることも仕事」です。
また、すべての仕事で考えさせる必要はありません。
緊急性や重要度に応じて、上司が判断する仕事と、部下に考えてもらう仕事を分けることも大切です。
まとめ|「なぜ考えない?」から「どうしたら考えられる?」へ
考えない部下を見ていると、
「なぜ考えないのだろう?」
と思ってしまいます。
でも、その問いだけでは、部下の行動はなかなか変わりません。
大切なのは、
「どうしたら、この人が考えられるようになるのだろう?」
と問いを変えることです。
成長を一緒に喜ぶことです。
考える力は、突然身につくものではありません。
「どう思う?」
「なぜそう思った?」
「他には?」
「次はどうする?」
という小さな問いを日常の中に増やしていく。
そして、考えたことを否定せず、まず言葉にしてもらう。
その積み重ねが、考える習慣につながります。
もし、質問が苦手な部下、自分の考えを言葉にできない部下、指示待ちになりやすい部下の育成に悩んでいるなら、まずは「もっと考えて」と言う前に、考えるためのきっかけと問いを用意することから始めてみてください。
アドバンスカラーセラピーを生かした「考える力・質問力」の研修
部下の「考える力」を育てるためには、知識を一方的に教えるだけではなく、自分で考え、自分の言葉で話す体験が必要です。
アドバンスカラーセラピーは、色をきっかけに自分の考えを引き出し、言葉にしていくことで、自己理解やコミュニケーションのきっかけをつくることができます。
企業研修では、単に「色を学ぶ」のではなく、
- 自分の考えを言葉にする
- 相手の話を聴く
- 質問する
- 相手の考えを引き出す
- 自分で考えて判断する
- チーム内で対話する
といった、仕事の現場で活かせる力につなげていきます。
「指示を待つ部下」から「自分で考えて動ける部下」へ。
「質問しない部下」から「必要なことを質問できる部下」へ。
そのためには、部下だけを変えようとするのではなく、上司の問いかけ方・関わり方も一緒に変えていくことが大切です。
アドバンスカラーセラピーを活用した研修では、色を入口にしながら、参加者自身が考え、話し、聴き、気づく時間をつくります。
「もっと自分で考えてほしい」
「質問できる部下を育てたい」
「部下とのコミュニケーションを変えたい」
そんな企業・組織の皆さまに、現場で活かせる研修としてご活用いただけます。
考えさせるのではなく、考えられる環境をつくる。
その一歩から、部下の成長は始まります。
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![]() | 【コラム執筆】荒岡真由美(プロフィール) Color Presents/アドバンスカラーセラピー本部代表 アドバンスカラーセラピー開発者 研修講師歴26年 大学時代から色彩について学び、印刷・化粧品・ブライダル業界を経て独立。2009年、誰でも扱える名刺サイズの色彩心理ツール「アドバンスカラーセラピー」(アドバンスカラーは商標登録取得済)を開発。資格取得した門下生は3800名超。企業・団体研修を通じ、色彩心理を活用したコミュニケーション力向上や人材育成を支援。商工会でのエキスパート講師やイベント登壇、カラープロデュースなど活動は多岐にわたり、組織や人の可能性を引き出す取り組みを続けている。 |
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